Department of Applied Systems and Mathematics

情報学部 システム数理学科

<2023年4月  開設>

AIを活用し、DXを推進。社会課題を解決する数理モデリングを学ぶ

システム数理学科の特色

さまざまな事象が複雑に絡み合う現代社会においては、これまでの経験則や一つの発見・発明によって解決できない課題が数多く存在します。たとえば、交通事故や渋滞といった課題を改善するためには、信号制御や道路の形状、時間や季節などの状況だけではなく、予測が困難な人の動きまでも、AIなどの技術を活用したシミュレーションにより新たな施策が求められます。
そのために必要な力とは、社会のしくみを理解し、課題解決へと導くシステムを構築するための根幹となる数理モデリングの知識や技術であり、情報学と数学に基づいた数理的観点から物事を考える力です。

システム数理学科では、このような情報に関わる幅広い専門知識を持ち、複眼的且つ倫理的な視点で物事をとらえ、他者との共創に生かすコミュニケーション能力と技術力に裏付けられた真の問題解決能力を兼ね備えた人材を育成していきます。

4年間の学び

基礎から応用へ発展的に学ぶ

1・2年次

入学直後の前期には、「システム数理概論」という授業で、情報学と数学をもとにした数理モデリングを概観することを目的に、問題解決思考、対象とするデータの種類、さらに数理モデリングにおける視点について、講義と多くの例題をもとに理解を深めていきます。また、例題を通じて数理モデリングに基づく問題解決を学生自らが実践し、本学科における他講義での学びとその展開方法を修得していきます。

3・4年次

3年次からは専門発展課程へと進み、高信頼システム、セキュアシステム、複雑知能システム、データ分析システムの各分野での専門的な知識と技術を修得し、4年間の学びを通して、基礎から発展へと体系的な学修をしていきます。本学科での学びを通して、数理モデリングと情報システムの専門分野に精通した人材を育成していきます。

Pick up

数理モデリングとは

世界では複数の要素が相互作用する中で、さまざまな現象が生まれていますが、それらを正しく理解するにはモデルが必要です。脳のモデル、生命反応のモデル、コンピュータのモデル、経済のモデル、インターネットのモデルなどを用いることで、問題が発生した時の分析や検証、あるいは管理といったシステムとして何を準備すればいいかを明確にするために、不必要な情報をそぎ落とし、本質的な部分に焦点を当てて、数式や図表などを用いて対象を正しく表現します。数理モデリングは、問題解決を実行する際の鍵となる手段となります。

Pick Up 授業
もっとも楽な乗り換え方法も、最適化数理の対象問題だ

最適化数理

最適化とは、与えられた条件の中で最適解を求めるための手法であり、工学など自然科学だけでなく、社会科学領域における問題解決にも役立ちます。問題をモデリングし、それを解くためのアルゴリズムの構築を数学的に学び、現実の問題へ適用するための技法の修得を目標とします。

ゲーム的状況において最適戦略を考える

ゲーム理論

ゲーム理論は、経済分野から発展してきた学問です。John Forbes Nash Jr.はゲーム理論に関する功績により1994年にノーベル経済学賞を受賞しています。現在では、社会システムの分析や人工知能などさまざまな分野で応用されています。この授業では、ゲーム理論の基礎的な概念であるナッシュ均衡やパレート最適について学んでいきます。

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神大の先生 ― ゼミ・研究室 ―

卒業後の進路

論理的思考力を生かして情報産業などで活躍

4年間の学びで培った情報の基礎知識や問題解決能力を生かして、情報分野の産業を中心とした活躍の場があります。流れの早いIT業界では、職業選択においても柔軟に対応できる人材が求められています。具体的には、確固たる専門知識によりシステムやプログラムを構築したり、また、官公庁での政策・方針や企業などでの戦略を決めることもできる「論理的思考力」を持った人材の輩出を目指しています。

〈進路先例〉

  • ソフトウェア開発者、エンジニア、コンサルタント、プランナー

  • 中学校・高等学校教員(数学、情報)

〈取得可能な資格〉

  • 中学校教諭一種免許状(数学)

  • 高等学校教諭一種免許状(数学、情報)

〈在学中の学修により資格試験に向けた準備ができるなど学科との結びつきが強い資格〉

  • 基本情報技術者、応用情報技術者、情報セキュリティマネジメント(情報処理技術者)、ソフトウェア品質技術者資格、G検定(ジェネラリスト検定)、E資格(エンジニア資格)など

求める学生像・受験生へのメッセージ

論理的思考力や原理原則を見抜く力を身につけてほしい

移り変わりの激しい現代において、どのようなことにも臨機応変に対応していくためには、幅広い知識が必要です。そのために、数学を基盤とした情報学部での学びが大切になってきます。情報学部は、パズルや数独などを解いていくことに楽しさを感じたり、とことん突き詰めて考えていったりすることが好きな人には、論理的思考力を高めながら、成長していける場です。

たとえ複雑な問題であっても、論理的思考力や原理原則を見抜く力があれば小さな問題にブレイクダウン(分解)して、問題解決への道筋を立てていくことができるのです。これからの時代を担うみなさんにとっては、経験をしていない未知の状況で新しい価値を見いだし、問題解決していく力が必要になります。

学びの場では、失敗することを恐れずに、失敗した時にはきちんと原因を見極めて、次は同じ失敗をしないという心構えが大切です。大学でたくさん失敗してください。あきらめずに、地道に積み重ねていくことで、道は拓けるはずです。

学生のみなさんには、さまざまなことを「自分のこと」として捉え、自分で考えて、結論を出せる社会人になってほしいと思っています。そして、社会に出たときに「大学で学んだ情報学の基礎や知識、技術が支えになった」と実感できるような教育を目指していきます。