地球環境科学コースの特色

地球環境科学とは、地球全体を視野に入れ、人間の活動が環境に及ぼす影響を扱う学問です。

新しく創設される「地球環境科学コース」の学びは、私たちが住んでいる地球を知ることからスタートします。宇宙の中の地球、地球の構成、そして化石から地球上での生物の進化について学びます。

また、気象や物質循環をはじめとする地球の活動を知り、そこに化学物質がどのように関わるのかも学んでいきます。現在の地球環境を深く理解し、科学を通して地球の未来環境を考えていくことを教育目標としています。

地球環境科学コースでの学び方

1年次

地球環境科学を学ぶためには、自然科学の様々な分野の知識が必要とされます。

そのため1年次には、コース必修である「地球科学概論I, II」に加えて、選択科目として「物理学概論I, II」、「生物学概論I, II」、「化学概論I, II」などの概論科目を幅広く受講し、自然科学の基礎的知識を身につけます。

2年次

2年次になると、地球惑星科学、気象学、古生物学といった地球科学の中核となる分野の専門科目を受講することができます。

また、コース必修の「地球科学基礎実験」を通じて、地学、環境分野の実験を行うために必要な基礎的技術を身につけます。

3年次

3年次には「地球環境科学」、「環境生物学」、「環境分析化学」など環境に関する選択科目を履修することができます。

また、より専門的な地学、環境分野のプログラムが用意されている「地球科学実験」の受講を通じて、卒業研究に必要な実践的な技術を身につけます。3年後期からは研究室に仮配属されます。

4年次

4年次になると、卒業研究が始まります。地球惑星科学、気象学、古生物などの研究室から自分が一番興味の持てる研究室を選び、1年間じっくりと研究を進めていくことになります。また、ゼミの時間には各自の卒業研究に関してディスカッションを深めます。

Pick Up 授業

古生物学

地球の46億年という長い歴史の中で、三葉虫や恐竜やアンモナイトなど、様々な生物が現れては消えてきました。「古生物学」は主に化石という地質学的な証拠に基づいて生物の歴史を調べる学問で、地球科学と生物科学の境界にあります。世界の様々な地域で見つかる化石についての先人の研究成果の上に新しい発見が積み重なって、私たちの過去の生物に対する理解は日々更新されていきます。

この授業では、古生物学で用いられる基礎的な概念や、様々な時代を代表する代表的な化石生物や進化的なイベントについて学びます。

気象学

©気象庁

気象学では、地学概論Ⅱで学んだ大気の熱的性質に続いて、大気の運動を学修します。例えば、左図の衛星画像に示すように台風は巨大な空気の渦巻きになっており、地上付近では上から見て反時計回りに強い風が吹き込んでいます。過去の台風の地上での風速分布を右半円と左半円に分けて示したものが右図です。進行方向に向かって右の半円の方が風が強いことが分かります(気象庁HPより引用)。

講義では、台風に限らず、低気圧や竜巻等の風がどのようにして吹くかを運動方程式を使って解き明かします。

地球惑星科学

©国立天文台

この授業では、太陽系の構造とその形成、地球の構造とその形成のほか、岩石と鉱物、 プレートテクトニクス、地殻、火成活動、海洋、日本列島、月・火星・金星の構造と形成などについて解説していきます。

地球惑星科学で扱う分野の基礎的な項目や専門用語を理解し、地球科学の様々な現象を、専門用語を用いて正しく説明できることを目標とします。

©国立天文台

地球科学概論I

1年次の前期に開講する必修科目です。地球科学は、地球を研究対象とした自然科学の一分野であり、地質学、海洋学、気象学と天文学の4つの分野に分けることができます。この地球科学概論Iでは、主に地質学について学びます。地球の大きさや形、地球表層から内部の構造について学び、地球がどのように誕生し、その後どのような地質学的過程を経て、現在の姿に至ったのかについて学びます。最近の研究例を取り入れながら授業を行なっていきます。

地球科学概論II

文明の発達により人類は、知識の地平を時間的にも空間的にも広げると共に、自然現象による恩恵と災害の影響を強く受け続けています。「地球科学概論II」では主に天文学と気象学を取り上げ、宇宙に存在する数多くの惑星の一つである地球という視点に基づき、自然の中の人間という認識を育みます。この授業では例えば、天文学においてはるか遠方の天体の情報をいかにして得るかを理解できる他、気象学の基礎として大気の熱的な性質を学修し、具体的な観測結果から天気と密接に関わる大気の状態を判断できるようになります。

ここがポイント

古生物学・地球惑星科学・気象学の分野からそれぞれ専門を深めます

地球環境科学コースでは、様々な授業と実験を通じて地球と生命の歴史について学びます。

本コースでは、特に首長竜や恐竜の化石を用いて生命の歴史を明らかにする「古生物学」、隕石の成分を調べることなどで地球の成り立ちを知る「地球惑星科学」、にわか雨からエルニーニョまで様々な気象現象の仕組みの解明を目指す「気象学」の3つの分野について、専門授業から卒業研究まで取り組むことができるのが大きな特徴です。

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